
医療事務の就職先といえば病院、クリニックが思いつきますが、一言で病院といっても種類はさまざま。病院以外の就職先もあります。医療事務は無資格でもできますが専門性が高く、忙しい職場では即戦力が求められます。新潟県をはじめ、医療事務専門学校が多いのはそのため。ここでは医療事務の就職先について、種類と特徴を紹介します。
CONTENTS 目次
医療事務の就職先の種類
医療事務の就職先といえば病院が筆頭。ある医療事務専門学校では卒業生の7割弱が病院、クリニックに就職しています。3割は調剤薬局や歯科、介護施設などに就職。就職先の種類が多いのも特徴です。
病院、クリニックの種類
一言で「病院」といっても何種類もあり、病院により仕事内容が異なります。町の診療所や歯科、クリニック、病床20床以上ある町の大きな病院「一般病院」、一般病院から紹介状をもらって受診する「地域医療支援病院」、全国から難病患者が集まる「特定機能病院」など、大小さまざまな形態があります。
ほかにも「結核病棟」や「精神病棟」もあり、病院の数ごとに医療事務が必要になります。大きな病院ほど業務は細分化され、小さなクリニックほど多くの作業を担います。
調剤薬局
医療事務で、意外と需要が高いのが調剤薬局です。調剤薬局事務という別ジャンルの職種になりますが、医療事務と共通点が多いのが特徴です。平均給与は医療事務に比べて若干下がりますが、就職先が多く再就職しやすいのが利点。
健診センター・健康保険組合など
数は多くないですが、健康保険組合や健診センターに就職する方もいます。感染症対策などで病人と接するのが難しい方でも、健康保険組合なら比較的低リスクで働けるでしょう。求人は少ないので、医療事務専門学校に在学中なら学校に、卒業後は派遣会社に要望を出すのが近道です。
就職先ごとの仕事内容
医療事務の仕事内容は「町のクリニック」と「そのほか、大きな病院」で大別されます。小さなクリニックでは医療事務全般の業務を担いますが、大きな病院では業務が細分化され、より高い専門性が求められます。
小さなクリニックはマルチタスクが求められる
医療事務の業務は「受付・会計」「カルテ整理」「レセプト業務(診療報酬明細書の作成業務)」「クラーク業務(診察の記録、看護師や医師に患者の状態を報告など、医療上の業務)」など、多岐にわたります。小さなクリニックでは一人か二人でこれらをすべて行う必要があります。暴れまわるお子さんやクレームを付ける患者への対応など、危機対応力も求められます。
マルチタスクな作業を求められるため、一つのことに集中が続かない方、いろんな業務を経験したい方にはうってつけの環境です。接客業の面も求められるため、飲食店従業員から転職して成功した方もいます。就職先が多く、病院の定休日に休めるのも利点。逆に、1つの作業に集中したい方には難しいでしょう。
大きな病院では専門性が磨かれる
一般病院より大きな病院では、医療事務は細分化されています。受付業務は受付のみ、クラーク業務はクラーク業務のみ、と1つの業務に集中できます。(繁忙期のレセプト作成は、業務の垣根を越えて作業することもあります)1つの仕事に集中したい方にはよい環境でしょう。
入院病棟のある病院では入院手続きや、入院中の患者さんの部屋に出向き、高額医療費控除の説明などを行うこともあります。点数計算など作業の正確さ、患者に分かりやすく医療費控除などの説明を行い、安心してもらうホスピタリティなど、その人に合った長所を磨くことができます。
業種の多様性はもちろん、大きな病院では働き方の多様性も保証されています。たとえば救急病棟の受付担当は夜勤を求められることもあり、急患の診察券発行、入院手続きや会計などを行います。同業者が多く、協調性が求められるので、マイペースな方には厳しい環境かもしれません。交代要員はいても24時間休みがないので、病院によってはハードワークになります。
就職先別の給料比較
医療事務の仕事は全体的に低めですが、就職先や職種によっては高額も狙えます。夜勤がある救急病院の受付などを続ければ、夜勤手当などで高い報酬を得ることも可能です。新潟県の令和3年度の初任給は、専門学校卒は18万1,449円、大卒は20万242円となっています。
小さなクリニックは給与が低め
診療所や歯科など小さなクリニック、調剤薬局は身近にある分、多くの医療事務者が務めています。そのため給与は比較的低め。新潟県では月給15万円から、時給891円から、という求人が多いようです。多くの業務をこなしながら給与は低めですが、定休がある、シフト制で働けるなど、比較的休みが保証されているのが利点です。稼ぐことより休みの確保を重視したい方には、魅力的な業種です。
大病院は、実績と働き方次第では高給が狙えることも
大病院は一般病院と、国立・公立病院で給与の差があります。一般病院では330万円から、国立・公立病院は380万円から、というのが一般的です。賞与を入れるとさらに上がりますが、近年は経営赤字の病院が増え、賞与が難しい面もあるでしょう。責任者になる、夜勤などを行うと、さらに給与アップが目指せます。
まとめ
医療事務の就職先について紹介しました。医療事務の給与は決して高くありませんが、作業時間が短い、または休みが取りやすいなど、ワークライフバランスが取りやすいのが利点。子育て中のお母さんでも働きやすい業種です。
総合病院などで正社員としてキャリアを積み、夜勤などを請け負うと高額を狙えることもあり、働き方の多様性があります。自分はどのように働きたいか、就活の際にしっかりイメージするとよいでしょう。